脳梗塞の治療について
脳梗塞を発症した方、または発症や再発の可能性がある方にとって、脳梗塞の理解を深めておくことは大切です。
- 脳梗塞の初期症状や原因を知っておきたい
- 脳梗塞の治療方法について理解を深めたい
- 脳梗塞の予後について知りたい
このような疑問を抱えている方向けに、脳梗塞の症状や原因、治療について解説します。
脳梗塞とは?
脳梗塞の概要

脳梗塞は、脳卒中とよばれる病気の中のひとつの種類です。脳卒中は大きく分けて以下の3種類に分類されます。
- 脳梗塞:脳の血管が狭まったり、塞がれたりすることで詰まる
- 脳出血:脳の細い血管が裂けて脳の組織の中に血腫(出血の固まり)をつくる
- くも膜下出血:脳の太い血管にできた脳動脈瘤が裂けて脳の表面に出血する
また、脳梗塞の中でもさらに3つに分類されます。
- ラクナ梗塞:脳の太い血管から分岐している細い血管がつまることで発生する
- アテローム血栓性脳梗塞:脳の中でも中大動脈と呼ばれる太い動脈がつまることによって発生する
- 心原性脳塞栓症:心臓などで作られた血の固まりが流れてきて、詰まることで発生する
脳梗塞を発症すると、脳の血管がつまることで脳に酸素や栄養が行き渡らなくなります。その結果、脳の細胞が死んでしまい、さまざまな障害が生じます。
脳梗塞の原因
多くは動脈硬化によって血液の流れが悪くなり、血栓ができることで、脳梗塞が引き起こされます。
脳梗塞は、生活習慣病や動脈硬化とのつながりが深い病気です。高血圧、糖尿病、心臓病、高脂血症といった基礎疾患や、肥満、喫煙、過度の飲酒、ストレス、運動不足といった生活習慣など多くの原因があります。また、これらの要因が重なるほど、発症のリスクも高くなります。
脳梗塞の初期症状
脳梗塞は前触れなく起こることが多いですが、初期症状として、予兆がある場合もあります。代表的な考え方として、米国脳卒中協会が提唱している「FAST」というものがあります。

- Face(顔):うまく笑顔が作れるか?
- Arm(腕):両腕をあげたままキープできるか?
- Speech(言葉):いつも通りしゃべれるか?
- Time(時間):症状に気づいたらすぐに医療機関で診察を受けること
その他にも、以下のような予兆がある場合があります。
- 急に言葉がでなくなる
- ろれつが回らなくなる
- 顔がゆがむ
- 言葉が出てこなくなる
- 片方の視力が急激に低下する
- 体の片側だけ動かない、力が入らない
- 体の片側だけしびれる
- 意識がもうろうとする
このような予兆が、急に出現してすぐに治ることがあります。これは一過性脳虚血発作(TIA)と呼ばれており、数分~30分程度で症状が治まることが多いです。
脳梗塞は時間がたてばたつほど悪化することが多いです。たとえ症状が数分で治まったとしても、おかしいと思ったらすぐに医療機関へ行くことが重要です。
脳梗塞の後遺症
脳梗塞を含め脳卒中は、後遺症が残ることも少なくありません。損傷された脳の部位によって、さまざまな後遺症が起こる可能性があります。
たとえば、以下のような症状が起こることがあります。
- 運動障害(片麻痺):手足を動かすことが困難になる
- 感覚障害:知覚や感覚に異常をきたし、しびれや感覚過敏、感覚脱失などが起こる
- 構音障害:唇や舌などに麻痺が出てうまく発音できなくなる
- 失語症:ことばをうまく扱うことができなくなる
- 高次機能障害:注意が散漫になる、出来事が覚えられなくなる、感情をコントロールできなくなるなど
- 視野障害:物が二重に見えたり、欠けて見えるなど
- 嚥下障害:食べ物や飲み物をうまく飲み込めなくなる
- 排尿障害:トイレの間隔が短くなったり、トイレに間に合わなくなる
- 神経症状:自発性や意欲の低下が起こる
これらの後遺症のリスクを低減させたり、障害が残った機能を回復させるには、リハビリが重要といわれています。
脳梗塞の治療方法は?
発症直後は時間との戦い
発症直後は、すぐに医療機関を受診できるかどうかが大きな鍵となります。症状の程度が軽いと思った場合、治ったと思った場合でも、すぐに病院にかかるか救急車を呼びましょう。
脳梗塞の治療方法
脳梗塞のタイプによって治療方法は異なりますが、以下のような方法があります。
①血栓溶解薬の投与
症状が出た直後から4.5時間以内であれば、血栓溶解薬(アルテプラーゼ:t-PA)が使用できます。血栓を溶かす薬で、血栓が溶けて早い時間に血流が再開すれば症状が改善することがあります。
②薬物治療
点滴や飲み薬による治療を指します。多くの場合はこうした薬物治療が中心となります。脳梗塞のタイプによって使用する点滴や薬は変わりますが、血をさらさらにする点滴や、血を固まりづらくする薬を使用します。
③外科治療(手術)
上記の点滴や内服治療の他、手術を行うことで悪化を防ぐ場合もあります。脳血流を増やすための脳血管バイパス術や、内頸動脈内膜剥離術、カテーテルを使って狭くなった部分を広げる血管内ステント留置術などがあります。
脳梗塞の後遺症のリハビリ
後遺症は、早期のリハビリによって症状を軽くすることができるとされています。リハビリは、「急性期」、「回復期」、「生活期(維持期)」の3つの時期に分けて進めます。
- 急性期:発症から2~4週間を目安に医療機関で行われる
- 回復期:発症後3~6ヵ月を目安にリハビリ専門の病院などで行われる
- 生活期(維持期):回復期以降、自宅やリハビリ施設にて行われる
また、脳が損傷された部位によっても、リハビリの内容は異なります。一人ひとりの症状に合わせたリハビリが必要です。
脳梗塞の予後は?
脳梗塞は再発する可能性が高い病気です。そのため、主治医の指示に従って再発予防薬を内服したり、脳梗塞の原因になり得る基礎疾患や生活習慣の管理を行ったりすることが大切です。バランスのとれた食事、定期的な運動、禁煙など、生活習慣の改善を行いましょう。
また、記事の前半にて触れた脳梗塞の初期症状に気づいたら、すぐに病院を受診して早期治療を心がけましょう。
脳梗塞の後遺症のリハビリをお考えなら
脳梗塞の症状や原因、治療について解説しました。
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※本記事の内容は、医師の診察に代わるものではありません。治療に関しては、必ず主治医の診断を受けてください。
※本記事にて提供する情報は正確であるよう努めておりますが、内容を完全に保証するものではありません。
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